今春、バルセロナではいくつものドラマが生まれたが、ベルギーN優勝のCAMILLE号≠燔b題の1羽。12,738羽の頂点に立ったのは、ヌーエン・パーセンの銘鳩ド・ナルボンヌの直系であった。優勝鳩の父方はすべてヌーエン・パーセンカトリス系の血脈で固められており、改めて長距離スピード系最高峰の威力を証明する結果となった。
▲愛鳩を手にするジャック・ヌーエン(左)と息子のディルク・ヌーエン |
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勝つための「特別」な何か |
最長距離レースである今年のバルセロナはスピードレースとなった。南西風に乗ったドイツとオランダののレーサーが上位を占める結果となったが、その中でも分速1,386メートルを記録し、インター25,820羽中4位に入ったベルギーナショナル優勝鳩には大きな価値があるだろう。ちなみにベルギーからは12,738羽とレース全体の半数以上を占める長距離系レーサーが参加している。
1万羽を悠に越える長距離に特化したレーサーが、はるかスペインはバルセロナからベルギーへ向かってしのぎを削り、スピードを競うのである。展開や運だけで勝てるほど甘いものではないのは周知の事実であるだろう。彼らはみな生まれながらのアスリートであり、プロフェッショナルな経済動物なのだ。速く帰るために、確実に帰るために試行錯誤され、研ぎ澄まされてきた高性能のレーサーたち。その一方向に特化した能力は、もはや自然界の産物ではなく、ライフルの弾丸や弓矢の矢のようにただひとつの目的に帰着する。そう、帰巣本能とスピードである。
性能が均一化した現代の鳩レースにおいて、ライバルはいずれも強力である。その中で抜けるためには「特別」な何かを持っていなくはならない。その「特別」が何なのか。私たちはこの01年生まれのベルギーN優勝鳩の血統書を紐解いた瞬間、一目で理解することができる。
「ヌーエン・パーセン」
そう、優勝鳩の父方はすべてヌーエン・パーセンで固められていたのである。
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万羽レースで抜ける遺伝子 |
ヌーエン・パーセンの代表的銘鳩にはド・ナルボンヌがいる。このレーサーの「非凡さ」は900KのナルボンヌPで優勝、850KのモントバーンP2位他、長距離で17回入賞の実績を見ればわかることだが、その「偉大さ」はブリーダーとしての天性の遺伝力にある。このカトリスの銘血を受け継いだCHは、再び稀代の銘鳩を誕生させる。それが01年マルセイユIN19,662羽中優勝のビューティ・マルセイユであることは言うまでもない。父から子へ、「特別」な何かは確実に受け渡されたのである。
配合こそが鳩レースの根幹であるとしたら、優秀な遺伝子をどれだけ確実に子孫に伝えることができるかどうかがブリーダーの唯一無二の資質であることはいうまでもない。ヌーエン・パーセンカトリスの遺伝子は、今もなお万羽レースで抜ける「特別」な何かを伝え続けている。 |
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“CAMILLE” B01-5094750 B
ヘリンク&ポーレマンス作翔 |
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2007年
バルセロナ
ベルギーN12,738羽中優勝
IN25,820羽中4位
2003年
サンバンサンProv.517羽中47位、
CFW95位
2005年
バルセロナN12,738羽中29位、
Prov2,291羽中4位、
IN28,819羽中67位
2006年
ペルピナンN6,765羽中221位、
Prov.17位、 IN512位、
バルセロナN11,802羽中1829位
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父/B98-5063248
祖父/ビリー B97-5200744 純ヌーエン・パーセン
ド・ナルボンヌ(マルセイユIN優勝 “ビューティマルセイユ”の父)の孫
祖母/B88-5278153 純ヌーエン・パーセン
姉妹/バルセロナN上位入賞3回
母/B97-3000356 E&F・デヴォス作
姉妹/クレイネ・ジジ 97年ダックスN優勝、ペルピナンN2位、KBDB長距離エース P1位 |