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 ■ヨーロッパトゥデイ
 

 成功へと導く信念のセオリー  長距離界の最高峰アールデンに
 超長距離CHアス・ダイフの銘血 古豪ヘルマン・ファン・ヘルモント

 75歳にして、ボルドーレースで宿願のインター制覇を遂げる。オランダ出身のベルギー最強ヘルマン・ファン・ヘルモントの成功の鍵は常に飛躍を目指し、その道を拓く独自のセオリーにあった。
 お気に入りの鳩を手にするH.ファン・ヘルモントと良きパートナーのコール夫人。

 

 

 オランダ長距離血統を駆使

 とうとうその日がやって来た。2007年6月30日。75歳の古豪ヘルマン・ファン・ヘルモントがボルドーレースで宿願のIN制覇を収める。ベルギーで闘うオランダ生まれのヘルモントにとって、人生最高のパフォーマンスをヨーロッパ全土に示す壮挙だった。
 オランダ南部の小さな村“マデ”の出身で、当初は中距離主体でレースを謳歌していた。少数精鋭で個々の能力を最大限に引き出すことをモットーに、すでにナショナル、プロビンシャルで多くの実績を収めている。鳩界紙でも「マデの成功者」と称えられ、近隣地域は勿論、国内においてもその実力は注目されていた。
 自鳩舎の飛び筋を形成していく基礎鳩には「鳩の魔術師」と言われたアドリヌス・ファンデウェーゲンや、地元の強豪ヤン・クールスを介して手に入れた長距離界の最高峰ヤン・アールデンの血も流れる。
 オランダの長距離血統を駆使し活躍するヘルモントは、一級フライターとしてのさらなる飛躍を求めて、鳩王国ベルギーのアントワープ州へと移り住む。新境地での新たな挑戦に心を熱くさせたのが40年前のことだ。大きな環境の変化もあって、しばらくは成果が現れず悪戦苦闘の連続だったが、辛抱強く努力を重ね、地道にライン充実を図っていった。

 
 

 目指すは常にナンバー・ワン

 やがてヘルモントはベルギー国内に大きな衝撃を与える。同腹で1979年、80年の2年連続サンバンサンN優勝の快挙を成した。異国へと赴く前から数多くの実績を挙げていた源鳩ラインとヤン・アールデン、ファンデウェーゲンの銘血がベルギー鳩界を席捲する。
 オランダの血を支柱に、鳩の先進国であるベルギーで長距離レースを闘う意味を逸早く察知していたヘルモントの先見の明を思わずにはいられない。同時に今やベルギー長距離界のスペシャリストとして不動の地位を築く老フライターの、奥に秘めた信念には圧倒されるものさえある。
 目指すは常にナンバー・ワン。ナショナル優勝を手にすれば、次は国際レベルのトップを目標に置く。コロニーを形成する従来の血統に甘んじることなく、優れた因子を維持しながら、新たな血を注ぎ込むことでパワーアップを図っていく。
 フィリップ・ステケティー、ヴィム・ミュラーの銘血を取り込みながらヘルモントは次なるステップを踏んでいった。前者は主力のヤン・エルネストを含み、オランダ長距離界の強豪が数多く誕生しているステーンベルヘンで生れた銘血を駆使する。後者のコロニーもまた、ステーンベルヘン出身のヤン・アールデンを系源とするファンデウェーゲンやファンワンローイの血で形成されていた。

 
 
 年を重ねる程に進歩する

 ヴィム・ミュラーのゴールデン・ブリーダー直子・孫交配からヘルモントは“アス・ダイフ”を誕生させた。2002年、3年の2年連続で地区超長距離エースピジョン1位を獲得したスーパーCHだ。優れたブリーダーでもあるこの鳩に、系源でヤン・アールデンともクロスするステケティーの鳩を交配する。誕生したのがインターナショナル初制覇へと導いてくれた“デン・ボルドー”だった。
 ヘルモントのブリーディングは年を重ねる程に進歩してきた。アス・ダイフが脚光を浴び、鳩舎全体が勢いづく中、作出は一層充実し、スーパーレーサーの確かな因子は引き継がれていく。アールデンとヴィム・ミュラーを巧みに絡めた鳩が4年間でプロビンシャル15入賞。ヘルモントの源鳩ラインにヴィム・ミュラーの血を織り込み生れた兄弟の1羽は5年間に14回、もう一方が4年間に11回のプロビンシャル入賞を重ねている。
 これらエースピジョン級の3羽に昨年、ヘルモントはアス・ダイフの孫、曾孫を配した。血統的な馴染みの良さは、すでに実証済みで、成功への鍵を握る交配セオリーも見え隠れする。オランダ長距離の銘系を巧みに操りながら常にトップを目指す。ヘルモントの作り出す1羽1羽には本人の強い信念が込められていた。

 
 
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